Creators/注目のクリエイター

一針一針に思いを込めて パッチワークがつなぐ、こころの絆

富嶋  美津子さん

Profile/プロフィール
富嶋 美津子さん Mitsuko Tomishima
ユザワヤ芸術学院蒲田校パッチワーク・ハワイアンキルト講師。パッチワークに出会ったのは33年前。当時ご主人の勤務地だったアメリカで技術を習得し、帰国後ユザワヤ芸術学院の講師に。以後26年間に渡りパッチワークの指導にあたる。

アメリカが誇る伝統文化
パッチワークキルトとの出会いと思い出

富嶋さんが、パッチワーク制作を始められたきっかけを教えてください。


富嶋さん:
月日が経つのは早いもので、もう30年以上前の話になります。夫の転勤に伴って暮らした、アメリカ・NJ(ニュージャージー)での出会いがきっかけでした。NJの冬はとても長く、なかなか晴れ間に出会うことがありません。厳しい寒さに加え、三男が生まれたばかりだったこともあり、家にこもってふさぎがちな日々でした。しかし家の中は明るく、あたたかく、安らぎに満ちた場所にしたい。そう思っていた矢先、友人の家でパッチワークキルトを見たときに「これだ!」とピンときたのです。

いつも笑顔を絶やさず、朗らかな富嶋さん。「最近のハワイアンキルトの流行で、自分がキルトを始めた時と同じ年代の、若い世代の生徒さんが増えたことがとても嬉しいですね。」

人々の生活にキルトは深く根ざしているのでしょうか?


富嶋さん:
それはもう! どのファミリーにも、必ずと言っていいほど自慢のキルトがあります。おばあちゃんが作った古いキルトを、お孫さんが大切にリメイクしたり。アメリカンパッチワークの始まりは、200年以上前の開拓時代にさかのぼります。布や糸も貴重品でしたので、小さな端切れも無駄なく活かそう、という発想がパッチワークの原点。布と布を縫い合わせ、保温のために詰め物をして、補強のためにしっかりと刺し込む。この作業は当時の人々の命を繋ぐ、大切なお仕事のひとつでした。パッチワークキルトは、アメリカが誇る文化と言っても過言ではないと思います。


代々伝わるパッチワークキルト文化をしっかりと受け継いでいるのですね。富嶋さんは、どのようにして技術を身につけられたのですか?


富嶋さん:
思い立ったら即行動タイプなので、すぐに先生を探して習い始めました。子どもが小さかったので家に来ていただいたり、先生のご自宅でコーヒーを飲みながら和気あいあいと教えていただいたりと、楽しい思い出ばかりです。その頃のアットホームな雰囲気は、今の教室に大きな影響を与えていると思います。キルトに限ったことではありませんが、何かを創り出す楽しさを知ることが、上達への大きな第一歩。色合わせのセンスや、縫い目の美しさなどのテクニックは、必ず後からついてきます。ものづくりの根本にある、自由と楽しみをアメリカ人の先生に教えていただいたことは、大きな財産となりました。

壁一面を飾る大きなタペストリーは、開講20周年のお祝いに生徒さんたちから贈られたもの。1人1枚ずつカゴ模様のパッチワークを作り、ヨーヨーキルトで繋ぎ合わせてくれたのだとか。「デザインは同じでも、それぞれの方の個性が出ているのがわかります。一生の宝物です。」

今までに多くのキルトを制作されてきたと思いますが、
特に印象に残っている作品についてお聞かせください。


富嶋さん:
人生の折々をキルトと共に過ごしているので、思い出は数えきれないほどありますが、NJで初めて作ったベットカバーのことが心に残っています。外は雪が降っていても、家の中は暖房が効いているので温かく、眠るときは薄い毛布だけでも体感的には十分ですが、母親の手作りの温もりで包んであげたいという思いで、子どもたちのために一念発起してベットカバーを作りました。1年以上かかったでしょうか。完成した時は、思わず叫びたいほどの嬉しさでした(笑)。あの達成感は、生涯忘れられません。

(左)「布に触れると、心を落ち着かせる効果があるんですよ」と、富嶋さん。(右)一針ずつ、丁寧に布をすくいながら縫い上げていく。流れるような手さばきに、思わず見惚れてしまいます。

All Items/作品一覧

  • カメ

    カメ

  • ハワイアンベア

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  • パイナップル

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  • ハワイアンティッシュケース

    ハワイアンティッシュケース

  • ミニバッグ

    ミニバッグ

Information/関連情報

  • [レシピ情報]
  • found MUM(ファウンドマム)では、富嶋先生の素敵な「ティーマット」の作り方(レシピ)を公開中です。初心者の方でも安心して楽しめるように、わかりやすい解説と写真でご紹介しています。



  • [講座情報]
  • ●開講場所:ユザワヤ芸術学院蒲田校
  • ●開講日時:土曜日
    (午前クラス10:00~12:30 午後クラス13:30~16:00 夜間クラス18:00~20:20)
  • ●担当講座:パッチワーク・ハワイアンキルト教室
  • ●講座紹介:一針一針丹精込めて作り上げるパッチワークキルトには素朴で暖かい魅力があります。また、色鮮やかなハワイアンキルトは南国の花や木をモチーフにしたものが多く、楽しい作品がいっぱいです。同じ趣味を持つ仲間と、楽しいときを過ごしませんか。ポーチを作る講習会も開催しています。2回で仕上がります。


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