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かけがえのない記憶と喜びと共に 愛すべきテディベアたち

平口 時子さん

Profile/プロフィール
平口 時子さん Tokiko Hiraguchi
ユザワヤ芸術学院神戸校テディベア講師。テディベアに出会ったのは約20年前。9年前よりユザワヤ芸術学院講師。動物の姿形をユーモラスにちょっと擬人化して、さまざまな表情のキャラクターを生みだし世界にたったひとつのオリジナル人形を制作している。

個性豊かな表情が生まれる
テディベア制作の醍醐味

テディベア制作を始められたきっかけを教えてください。


平口さん:
子どもの頃から動物やぬいぐるみが好きで、特にドイツの老舗メーカー、シュタイフ社のテディベアに興味を持っていたのですが、自分で作ろうという発想には至りませんでした。でも、コットンで作るテディベアが流行した際に、ブームに乗って始めたのです。作り方をわかりやすく解説した様々な本が出版されましたので気軽にチャレンジできました。当時の私にはぬいぐるみといえばファー(毛皮)という固定観念がありましたので、コットン製のテディベアはとても新鮮に感じました。

お嬢様が成人した際に合わせて作ったという、4体セットのテディベア。「それぞれの表情に合わせ、着物の柄や色をセレクトするときが一番ワクワクします。」着替えた着物や帯はたとう紙に包んで、布地も本物という本格的な衣装が圧巻。

平口さんの作られたテディベアやぬいぐるみは、着ている洋服にそれぞれ個性があり、フリルや裾のあしらいなど細かな工夫が凝らされていますね。テディベアの制作を始める前から、手芸やものづくりなどはお好きだったのでしょうか?


平口さん:
母親が大の手芸好きでしたので、子どもの頃に着ていたワンピースやセーターはもちろん、お人形の服までほとんどが手作りという環境で育ちました。布や糸といった素材には自然に慣れ親しんでいましたし、針を持ったのも比較的早かったと思います。いざテディベアを作ってみると、少しのバランスで表情がくるくると変化したり、布を変えることでガラリと雰囲気が変わったり。あれこれと工夫しているうちに、不思議なことにクマに個性が芽生えて、心が段々と宿っていくように感じます。作りながらいつの間にかクマに話しかけていることも度々です(笑)。

前のテディベアに洋服を着せると、ガラリと雰囲気が変わります。帽子やヘアアクセサリー、ファー、ショールに至るまで細部にこだわることで、それぞれの個性が際立ちます。

テディベアやぬいぐるみを通じて、
かけがえのない家族の思い出を記憶する

テディベアのテイストも幅広く、洋服や和装などシチュエーションも異なるようですが、どのようなイメージで制作されるのでしょうか?


平口さん:
ピンク色のテディベアは、娘の大学卒業記念に「おめでとう!」の気持ちを込めて作りました。晴れ着や袴、バッグや卒業証書まで、娘そっくりに仕上げました。私の場合、母が長年愛用していた着物をリメイクしたり、感動した行事をそのまま再現したりなど、家族の絆やワンシーンをぬいぐるみで表現することが多いですね。もしくは歴史上の人物やスポーツ選手などを模してみたりと、遊び心を加えて小物を作ることもあります。はじめの頃はただ夢中でしたので、布や形を変えて様々なぬいぐるみを作ることに熱中していました。でも、母親の影響でお人形の服を作ることも好きでしたので、段々とぬいぐるみ周りの小物にもこだわるようになりました。

袴姿や髪飾りはもちろん、手に持った卒業証書入れも実物そのままの布張りで仕上げるなど、リアルに再現されたテディベア。「いたずらっぽい笑い方も、なんとなく娘に似せて作りました。」

深い愛情を感じるエピソードですね。ご家族の喜ぶ顔が想像できます。お嬢様もぬいぐるみがお好きなのでしょうか?


平口さん:
そうですね。テディベアと同じ表情で写真を撮ったりして、喜んでくれているみたいです。子どもが小さな頃はぬいぐるみを使った即席人形劇がお気に入りで、毎日のようにせがまれたものでした。作品を見るたびに、当時の子どもたちの声が聞こえてくるような気がします。人生は、たわいない、けれどかけがえのない瞬間の積み重ねだと思います。ぬいぐるみはそんな貴重な記憶を甦らせるスイッチとしての役割も果たしてくれる、私にとって欠かすことのできないパートナー。表情があるものなので作り手の思いを投影しやすいところが、ぬいぐるみ作りの大きな魅力の1つだと思います。

「見る人を喜ばせたり、驚かせるための工夫を考えているときが何より楽しい。娘も喜んでくれて良かったです(笑)。」

お琴とセットになったテディベアは平口さんのお母様がモデルとのことですが、詳しくお話を聞かせていただけますか?


平口さん:
母が長年着ていた着物を、思い出に残る形でリメイクできないかと考えてこのテディベアを作りました。細かな部分まで母に似せたいと思って、若い頃からの趣味であるお琴を弾かせてみました。赤いメガネやちょっと上向き加減の表情にもとことんこだわったので、母本人や家族の評判も上々です(笑)。クマの着物はもちろん、帯も母の愛用品。子どもの頃よく見た日常の光景を思い出しながら作ったので、昔を振り返る良いきっかけにもなりました。

テディベアの後ろ、左手に写っている慎ましやかなご夫人が、若かりし日の平口さんのお母様。クマと同じ着物を着てお琴を弾いているのがわかります。

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  • フェルト羊毛の花ブローチ

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