富嶋さんがお考えになる、ご自身の作品の特徴について、お聞かせください。
富嶋さん:
最近のキルトショーでは、ミシンを使用して作るモダンで芸術的な作品が流行りの傾向にありますが、これからも手作業にこだわり続けていくつもりです。キルト創作の醍醐味は、作品を通じて人の心と身体を癒すこと。かかった手間と時間の分だけ、真心が縫い込められていくと思うのですね。どんなに時間がかかっても、自分の手で愛おしみの気持ちを込めて縫い進める。その工程を含めて、わたしのキルトそのものなのです。
古くなったキルトは、思い切ってぬいぐるみにリメイク。形は変わっても、思い出や記憶はそのまま残ります。
富嶋さんの作品からは、心浮き立つようなワクワク感、のびやかな明るさも感じます。デザインを考える際に、特に心がけていらっしゃることはありますか?
富嶋さん:
青空のように明るい色や、可愛らしい柄が好きです。伝統的なアメリカンパッチワークキルトに加え、ハワイアンキルトにも惹かれたのは、色使いの鮮やかさも大きな理由。また、アメリカのアンティークプリントも大好きで、旅行で訪れた際はついつい買い集めてしまいます。現代ではなかなか出会えないレトロポップな柄や、やわらかな色彩に魅力を感じます。小さな端切れであっても、小物のアレンジやアクセントに大活躍。友人へのプレゼントは、ちょっとしたサプライズのある色使いをしてみたり。驚いた後、パッとほころぶ顔を見ると、とても嬉しくなります。
シーズナルなクリスマスツリーのタペストリー。あちこちにポップなプリントが配された遊び心のあるデザイン。
最後に、パッチワークやハワイアンキルトに興味があり、これから始めてみたいと思われている初心者の方にメッセージをお願いします。
富嶋さん:
教室に通うことのメリットは、何といっても仲間ができること。独学でも努力すればテクニックは身に付きますが、一人で黙々と縫い続けるのはなかなか難しいことです。くじけそうになっても、友人やクラスの仲間が言ってくれた「すごいね!」という一言で、頑張って続けよう!という気持ちになるものです。また、色々な人に会い、お互いの作品を見てモチベーションを上げることも、スキルアップへの一番の近道です。パッチワークを通じて生まれる友情は、必ず貴方の人生の大きな糧となってくれるはず。ぜひ、パッチワークキルトへの扉を開いてみてください。
パッチワークキルトの技術を活かして、立体的な作品に応用。温かなベロア生地や、清楚なホワイトの生地を使えば、ノーブルで上品な仕上がりに。